万年筆インク選びガイド|初心者からこだわり派までタイプ別に解説

初心者と慎重派に向けた万年筆インク選びの解説記事用アイキャッチ画像

万年筆の魅力は、書き味だけでなく“色”にもあります。

インク選びは、あなたの個性を映す大切なステップです。

色、成分、耐水性、ブランド… 選択肢が多すぎて迷ってしまう方も多いはず。

この記事では、あなたのタイプに合わせた インク選びのポイントを紹介します。

インクの種類と特徴|染料・顔料・古典インクの違い

染料インク

タッチア『すなおいろ・あおくろ』とラミー『ブルーブラック』のインクボトル写真
※筆者撮影:タッチア『すなおいろ・あおくろ』とラミー『ブルーブラック』
(参考:ラミー公式サイトタッチア公式サイト
  • 色素が液体に溶け込んでいるタイプ
  • 発色が鮮やかで、滑らかな書き味
  • 洗浄が簡単で初心者におすすめ
  • 水に弱く、にじみやすい

顔料インク

セーラー万年筆の顔料インク『蒼墨』ボトル写真。耐水性・耐光性に優れたブルーブラック系インク

セーラー独自開発の超微粒子顔料インク『蒼墨』は、 水に強く、にじみにくく、裏抜けしにくい特長を持ちます。

公文書や長期保存にも適した、 信頼性の高いインクです。

(出典:セーラー公式サイト

  • 微粒子が紙の表面に定着するタイプ
  • 耐水性・耐光性が高く、長期保存に向く
  • 詰まりやすいため、こまめなメンテナンスが必要

古典インク(鉄胆インク)

プラチナ万年筆の古典インク『クラシックインク』。時間経過で黒味が増す伝統製法のインクボトル写真

プラチナ万年筆の古典インク『クラシックインク』は、 植物由来成分と鉄分を調合した伝統製法によるインクです。

筆記直後は鮮やかな色彩を示し、 時間の経過とともに黒味を増して定着します。

耐水性・耐光性に優れ、 長期保存にも適した特性を持ちます。

プラチナ万年筆公式サイトより)

  • 筆跡が時間とともに濃くなる化学変化型
  • 重厚感ある筆跡で、記録や日記に最適
  • 金属腐食のリスクがあるため、扱いには注意

👉 インクの性質と万年筆の相性については、万年筆のメンテナンス方法でも詳しく解説しています。詰まりやすいインクを使う際は、メンテナンスも重要です。

タイプ別インク診断|初心者・慎重派・こだわり派の選び方

以下の診断表で、自分に合ったインクタイプを見つけましょう。

タイプ 特徴 おすすめインク例
初心者タイプ 万年筆を買ったばかり/失敗したくない ブルーブラック/黒
慎重派タイプ 少しずつ色を増やしたい/定番から始めたい ブルーブラック+差し色
こだわり派 色で自己表現したい/青の違いにこだわる 月夜/深海/天色などの青系
パイロットの一般書記用インキ「ブルーブラック」ボトル。初心者タイプにおすすめの定番インク

初心者タイプにおすすめなのは、 やはり定番の「ブルーブラック」。

黒より柔らかく、青より落ち着いた色合いで、 ビジネスにもプライベートにも使いやすい万能インクです。

まずはこの1本から始めれば、 失敗なく万年筆ライフを楽しめます。

※画像はパイロット公式サイトより引用(一般書記用インキ「ブルーブラック」ボトル)

タッチアのボトルインク(紫・赤・緑)。慎重派タイプにおすすめの差し色として少しずつ取り入れやすいインク

ブルーブラックを軸に、紫・赤・緑といった差し色を少しずつ取り入れるのが慎重派タイプ。

手帳や日記に彩りを加えながら、自分に合う色を安心して試せます。


こだわり派タイプにおすすめなのは、 青の微妙な違いを楽しめる「色彩雫」シリーズ。

同じ青でも「月夜」「深海」「天色」では、 それぞれに異なる表情があります。

夜空を思わせる落ち着き、 海のような深み、 晴天のような明るさ──。

気分やシーンに合わせて選ぶことで、 書く時間そのものが特別なひとときになります。

パイロット色彩雫「月夜」の公式ボトル画像。夜空の静けさを思わせる深みのある青が特徴で、こだわり派に人気の万年筆インク。

※画像は パイロット公式サイト より引用(色彩雫「月夜」ボトルインキ)

パイロット色彩雫「深海」の公式ボトル画像。静かな海のような濃紺が特徴で、落ち着いた筆記を好むこだわり派に支持される万年筆インク。

※画像は パイロット公式サイトより引用(色彩雫「深海」ボトルインキ)

パイロット色彩雫「天色」の公式ボトル画像。晴れた空のような爽やかな水色が特徴で、軽やかな筆記を好むユーザーに人気の万年筆インク。

※画像は パイロット公式サイト より引用(色彩雫「天色」ボトルインキ)

※この診断はあくまで目安です。

気になる色があれば、まずは少量から試してみるのがおすすめです。

万年筆とインクの相性も考慮しながら、 少しずつ自分の“定番”を見つけていきましょう。

色選びのコツ|ブルーブラック・差し色・個性派カラー

ブルーブラック

  • 黒より柔らかく、青より落ち着いた万能色
  • ビジネスにもプライベートにも使える

差し色(赤・緑・紫など)

  • 手帳や日記に彩りを加える
  • 複数本持ちで色分けすると便利

個性派カラー

  • 青系の微妙な違い(ターコイズ・ネイビーなど)
  • ラメ入りやフラッシュ系で遊び心を演出

万年筆との相性|インク別おすすめモデルと注意点

  • 染料インクはほとんどの万年筆と相性が良い
  • 顔料インクはスリップシール機構付きのモデルがおすすめ(プレジール・プロシオンなど)
  • 古典インクは金属腐食に注意。耐性のあるペン先を選ぶと安心

顔料インク

  • 微粒子が紙の表面に定着するタイプ
  • 耐水性・耐光性が高く、長期保存に向く
  • 詰まりやすいため、こまめなメンテナンスが必要

※顔料インクは乾燥しやすく、 ペン先が詰まりやすいため、 気密性の高い“スリップシール機構”付きの万年筆が安心です。

プレジールやプロシオンはこの機構を搭載しており、 インクの乾燥を防ぎながら 快適な書き味を保てます。

👉 スリップシール機構付きの万年筆については、プレジール徹底レビュープロシオン徹底レビューで詳しく紹介しています。

プレジール:初心者向けで扱いやすく、価格も手頃

プロシオン:書き味にこだわる中級者向け。インクフローが安定

インク選びの注意点|混色・保管・洗浄の基本

  • インクを変えるときはペン内部を水洗いする
  • 同じ万年筆に複数のインクを混ぜない
  • インク瓶は直射日光を避け、冷暗所で保管

インク選びは“正解”より“楽しさ”を

万年筆のインク選びに正解はありません。

自分の使い方や好みに合わせて、 少しずつ試していくことで「自分だけの色」が見つかります。

まずはブルーブラックから始めて、 徐々に色の世界を広げていきましょう。

👉 もう一度タイプ診断を見直したい方は タイプ別インク診断表へ戻る

💬 よくある質問(FAQ)|インク選びの疑問を解決!

インクを混ぜてもいいですか?
基本的には混ぜない方が安全です。化学反応で詰まりや腐食の原因になることがあります。
インク瓶が乾いてきたらどうすれば?
水分が飛んで粘度が変わるため、使用は控えましょう。新しいインクに交換を。
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